おまえどこ中?

最終学歴 オールフィクション

短編

山の斜面で恋をした

どこに行ってたの 女の子が多いところ キャバクラ? まあ、でもお前よりいい女がいないことを確認してきただけだよ。付き合いで行っただけだし。 ふーん 不満げだねえ 嘘は悪いことじゃなくて、寂しいことなんだよ。 俺を寂しいやつだっていいたいの? 人を…

一夜限りの本当の愛

「いい夜だよ。少し歩こう」 「怒った顔も可愛いよ」 「美白の秘訣は不登校になることだよ」 「彼氏作らないんじゃなくてできないんです」 「Tシャツジーパンで様になる男女」 「まだあったかい缶コーヒー飲みたいのにな」 「フィギュアのスカートの中を覗く…

おいしい

目が覚めた。 時計を見ると朝の5時だった。カーテンの向こうはすこし明るかった。めちゃめちゃ眠かったのでもう一度寝た。 また目が覚めた。体が異常に怠い。ふと左腕の切り傷が目に入った。記憶にない。そもそも眠りにつくまでの記憶が全くない。嫌な予感が…

殺すぞ

掛け時計の規則正しい心拍。 か弱く高い電子機器の唸り声。 外は闇。 iPhoneがTwitterのふぁぼ通知で突然光る。 現在、午後23時48分。 眠れますか 眠れません 連日のテスト勉強の睡眠不足と大会前の居残り練習のせいで、今日は家を出る前から疲れた気分だっ…

ごめんね

「ごめんね」 あ、 「僕、佐久間さんのこと女として一度も見たことない」 数えたって虚しいだけ。数えないけど、何回目かな。勇気を出した告白、帰り道。たばこの煙と人間をかき分けて乗った電車の、窓の奥はキラキラ、街灯の街。人間の街。なんでもある新宿…

ざらざら

床にいるワニに全体重をかけて窒息させている。ワニの圧倒的な顎の力で今にも跳ね返されるであろうが、とりあえず今のところはイケる。希望はある。口と目を自分の腹で覆うようにして押さえつけた。ひんやりとしたおうとつを、柔らかな腹の肉が衣服の下から…

ロンリー・ザ・プラネット

わたしが止めなければ、誰も止めない。 延々とループするアラームの音が部屋に響く。止めて、まだ微睡みの中と今を、行ったり来たりする脳。気だるい体を無理やり動かしベッドから出る。冷たいフローリングが、素足から温度を奪う。カーテンを開けると、外は…

kill time

毎日夜になると寂しくって、天井が落ちてきて潰される。闇に吸い込まれて溶けて消えそう。日中は作業すれば紛れる感情も、眠りにつくまでの数秒で全てが蘇る。目が開けられないくらいに眩しい夏の陽は、強いフラッシュで肌のアラを消すみたいに心のデコボコ…

缶のコンポタ、あるいはパフェの底

喫茶店、注文したのはアールグレイのホット。かならず、ミルクで。 紅茶にミルクを落とす時、やわらかな渦を描く様子はなんと形容したらよいのだろう。とにかく、わたしはそれを見るのが好き。うすい緋色の液体にミルクの混じり気のないホワイトは、とても、…

琥珀

久しぶりに開けたスニッカーズは思い出の中のそれと余りにも違っていて、俺をむしゃくしゃさせた。 独特なしつこさがあるヌタャっとしたキャラメル、それをコーティングしたチョコレート。それとパッケージの間に隙間がある。気づかなければよかった。気づか…

毒殺準備

あなたの苦手な朝、優しいキスで起こしてさしあげます。粘膜と粘膜の接触が、あなたを中毒にしても、わたしは一生やめません。わたしはコーヒーを淹れます。朝食を作ります。お弁当を作ります。あなたはおいしいといって、すべて残さず食べるのです。あなた…

Kill me while I’m still young and pretty.

おにいちゃんは今日、大学のサークルで知り合った女の子とデートなのだそうだ。 早朝、世界一音が大きいと銘打った(うるさいからわたしも起きちゃう)目覚まし時計のアラーム音が家中に鳴り響いて起床。シャワーをひと浴びして、全裸(見たくない)で自室…

すき

ジーワ ジーワ 鬱陶しい蝉の声も小さくなってきた。 わたしは同級生や先輩とともに燃えるような太陽の下、部活という青春に高校最初の夏を捧げようとしている。先週の日曜日に行われた高校サッカー全国大会地区予選で二回戦敗退した我が校の三年生は、今日の…

蓄光の星

「お邪魔します。」 今日、初めて上京してから自分の部屋に男の人を呼んだ。お母さん、わたしを不良娘って叱ってください。お付き合いしてない異性を自室に招いたの。どきどきしてる。だって、彼は片想いの相手だから。学生時代、異性に想いを寄せたことはあ…

いいパパになりそう♡

じゃね〜んだよwwwww それって恋愛はあなたとしたくないけど、真面目そうだし誠実そうだし浮気とか暴力とかなさそうだし結婚相手にはいいかもとか、わたしはパスだけどきっとあなたに合ういい女が現れるよとか、見た目とか経済力とか大して褒めるところはな…

ぜってえ丸の内勤務OLになってケイトスペードの長サイフ小脇に抱えてお尻振りつつ長い髪なびかせて急ぎ気味にヒール鳴らしてオフィス街ランチバトル、勝ち抜いてやるからな

おかあさんへ 仕送り届いたよ。ありがとう。さっそく冷蔵庫に送ってくれたお野菜とかお漬け物とかいろいろ詰めたよ。いつもじゃ信じられへんくらい冷蔵庫、賑やかになりました。あ、別にご飯食べてないとかじゃないから、心配しないでね。買ったり作ったりは…